33「帰ってきたヨッパライ」-2

 

♪おらは死んじまっただ おらは死んじまっただ
 おらは死んじまっただ 天国に行っただ
 長い階段を 雲の階段を
 おらはのぼっただ ふらふらと
 おらはよたよたと のぼりつづけただ
 やっと天国の門についただ
 天国よいとこ一度はおいで
 酒はうまいしねえちゃんはきれいだ
 ワー ワー ワッワー

井上は佐藤から借りたレコード「帰ってきたヨッパライ」を自宅の卓上ステレオプレー
ヤーで聴いていた。

♪おらが死んだのはよっぱらい運転で
 「アレーッ!」
 おらは死んじまっただ おらは死んじまっただ
 おらは死んじまっただ 天国に行っただ
 だけど天国にゃ こわい神様が
 酒をとりあげて いつもどなるんだ
 「なあおまえ 天国ちゅうとこは
 そんなにあまいもんやおまへんにゃ
 もっとまじめにやれ」

「おもしろい歌だなあ〜。
レコードの早回しに聴こえるこの歌は実に単純だ。
でも、あじがある。
なんでだろう……」
井上は中三コース(学研・発行の学習月刊誌)に「アングラブーム」という言葉を見つ
けていた。そして、ラジオから聴こえる「帰ってきたヨッパライ」を世間ではアングラソ
ングと呼ばれつつあった。

「これはまったくマイナーな曲だ、だってテレビでは早回しでは唄えないから、レコード
を流すラジオ専門になってしまう。
 しかも、詞がハレンチでとてもテレビでは唄える代物ではない。
 でも、おもしろいなあ、飽きないなあ」
と、井上は何回もレコードを聴いた。

♪天国よいとこ一度はおいで
 酒はうまいしねえちゃんはきれいだ
 ワー ワー ワッワー

 毎日酒を おらはのみつづけ
 神様のことを おらは忘れただ

「なあおまえ まだそんなことばかり
 やってんのでっか ほならでてゆけ」

♪そんな訳で おらはおいだされ
 雲の階段を おりて行っただ
 長い階段を おらはおりただ
 ちょっとふみはずし

 おらの目がさめた 畑のどまんなか
 おらは生きかえっただ
 おらは生きかえっただ

この歌全体が今人気絶頂のドリフターズのギャグに通じるのではないか……
井上はそう思った。
そしてこの歌の登場人物を想像するのだった。

「帰ってきたヨッパライ」の登場人物は三人だ。
一人目はヨッパライ。
二人目は神様。
三人目はきれいなねえちゃん。

画用紙を取り出して、井上は鉛筆で丸や三角や四角を描いていた。そのうちに人物らし
き絵になっていった。
髪はバサバサ、目は酔ったボヤ〜とした感じ、鼻は団子、口は大きくしまりがない
……
そんなイメージが井上の頭によぎって絵になっていった。
おお、なかなかいいじゃないかあ。
井上は自分で感動した。
その時間はわずか数分だった。
帰ってきたヨッパライ
 
ザ・フォーク・パロディ・ギャング 作詞
 加藤和彦 作曲
 
JASRAC許諾 第J051213138号

(2006年1月11日記)

(文中の敬称を略させていただきました)

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