部・第回 長髪三人組と出会う



 次の日も、三人は朝早くから歩いていた。
「東京都豊島区南池袋1の20の1 横田ビル 虫プロ商事 COM編集部 に向かう!」
 と、村上彰司は大きな声でそう言った。
 三人は狛江市にある、井上はじめの親戚宅に宿泊した、
 井上らは狛江から小田急線で新宿に出た。
電車はいずれも出勤ラッシュで人、人、人で押し合っていた。
新宿駅で山手線に乗り換えて池袋駅で降りた。

「朝から暑いなあ……」
 井上が言った。
「からだは大丈夫か?」
 宮崎賢治は井上の顔を探りながら心配そうに言った。

 三人は横田ビルの中に入った。
 虫プロ商事のドアはすでに開かれていた。
三人は元気に、おはようございますと言って入った。
 声に気付いて虫プロ商事の奥からCOM編集長の石井文男が歩いてきた。
 小柄な石井は二十代そこそこに見えたが、実は三十歳を越えていた。
「やあ、おはよう。早いね。ちょっと待っててくれる。打合せをすぐ終わりにするからね」
 石井はやさしい声で言った。


 三人はパネルで仕切られた来客用の部屋に入っていった。
ドアを開けると、ソファに座っている長髪の三人の若い男たちと目があった。
「お・は・よ・う…」
 村上が三人に挨拶をした。
長髪の三人は黙っていたが、一拍遅れて頭をピョコンと下げた。
 村上らは立っていた。
すると長髪の三人組は四角のテーブルに添って一角に一人ずつ座っていたが、二人が席を立ち、一角に三人がまとまって窮屈に座りなおした。
「いいよ、狭いから。ワタシたちはまもなく外に行くので」
 と、村上が言う。
「いや、せっかくですからどうぞ!」
 前髪にウエーブがついている男が目がクリッとさせて言った。
 村上と井上と宮崎は、長髪の三人組みに向かい合うように対峙して座った。
「アナタたちも『ぐらこん関係者』ですか?」
 村上が訊いた。
「ハイ、北海道支部です」
 と、前髪にウエーブのついた男が目をクリッとさせて明るく答えた。
「そうですか。遠くからご苦労さんです。
ワタシたちは山形支部です」

 村上が上半身を前に出して言った。
「オオ〜ッ 山形ですか!
お互い遠いですね」

 人懐っこく目をクリッとさせて大きな声で言った。
そして、
「ボクは西沢と言います。
西沢ゆたかです。
よろしくお願いします」

 と言うと、ペコッと頭を下げた。
「ワタシは村上、村上彰司です」
「エッ、むらかみさん?
村上彰司サンと言えば、今回のぐらこん支部長大会を企画された村上さんですか?」

 西沢ゆたかという男は長髪の前髪を右手でかきあげながら訊いた。
「ボクは山形支部長の井上はじめです」
「オレは宮崎賢治です。よろしく」

 西沢は長髪の仲間の二人に、
「お前たちも挨拶をしろよ。ホラッ?」
 と、促した。
「成田とものり です」
「千葉つよし です」

 鼻に掛かる話し方をする千葉は、ジョンレノンを思わせる長髪だった。



(2010年5月19日 水曜日記)



(文中の敬称を略させていただきました)
第4部/さよならCOM!第3回


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